事業の議論では、早い段階で「この案はできそうか」と問いがちです。実行可能性は大切です。ただ、最初の案をすぐ絞り込むと、自社の資産をもっと生かせる選択肢や、別の顧客の切実な課題を見落とすことがあります。
発散と収束は、両方必要です。順番を分けることで、思いつきだけにも、慎重すぎる検討にも寄らずに進められます。
まず、問いの置き方を変える
「自社の技術で何ができるか」だけで考えると、技術を使うことが目的になりかねません。顧客が達成したいこと、今のやり方で残っている不便、自社が持つ接点や知識を別々に見てから、組み合わせます。
- 既存顧客に、まだ満たせていない課題はないか。
- 同じ資産が、別の顧客や用途で価値を持たないか。
- 提供する商品だけでなく、届け方や収益の取り方を変えられないか。
- 自社に不足する要素を補えたら、候補はどう変わるか。
この段階では、案の完成度より、見落としている方向を減らすことを重視します。
次に、選ぶための基準を決める
案が出そろったら、市場の魅力だけで決めません。顧客の課題の強さ、自社の優位性、収益につながる道筋、実行に必要な資源と時間、失敗したときの影響を比べます。
同じ案でも、早期の収益が必要な企業と、数年かけて次の柱を育てたい企業では優先順位が変わります。評価表の点数を先に決めるより、「今回の経営判断で何を重く見るか」を言葉にする方が重要です。
選んだ案にも、まだ仮説がある
優先案を決めることと、その案が成功すると確信することは別です。顧客は本当に困っているか、対価を払うか、競合より選ばれるか。大きな投資の前に、答えによって進め方が変わる問いから確かめます。
広げる、選ぶ、確かめる。この順番を意識すると、会議で好まれた案を守るための検証ではなく、次の判断に使える検証になります。