新しい事業を考えるとき、最初に市場の大きさや流行している技術を探したくなります。ただ、そこから始めると、どの企業にも当てはまりそうな案になりやすい。自社だから取り組む意味を見つけるには、まず手元にあるものを見直す必要があります。
資産とは、設備や技術だけではありません。顧客との関係、現場の知識、販路、信頼、業務の仕組みも含みます。重要なのは、その一覧をつくること自体ではなく、顧客の困りごとにどう結びつくかを考えることです。
資産と強みを分けて考える
「持っている」と「勝てる」は同じではありません。たとえば顧客接点が多くても、そこで得た理解を商品やサービスの改善に生かせていなければ、まだ強みになっていないかもしれません。
資産を強みとして見るときは、次の四つを確かめます。
- 誰に効くか。 特定の顧客や場面で、どんな問題を軽くできるか。
- なぜ自社か。 他社と比べて、有利に届けられる理由は何か。
- 繰り返せるか。 個人の頑張りに依存せず、事業として提供できるか。
- 続くか。 模倣や環境変化が起きても、優位性を保てるか。
答えがまだ曖昧な項目は、欠点ではなく検証すべき仮説です。「強みがある」と言い切るより、何を確かめれば判断できるかを明らかにします。
足りないものも一緒に見る
強みの棚卸しでは、足りないものも見えてきます。顧客への接点、技術、実行する人材、検証する時間などです。すべてを自社でそろえる必要はありませんが、何を補うべきかは具体的にしておきたいところです。
補い方には、自社で育てる、外部から調達する、パートナーと組む、事業案そのものを変える、という選択があります。外部との共創が必要かどうかは、この段階で初めて判断できます。
一枚にまとめるなら
最初の整理は、立派な資料でなくても構いません。「資産」「届けられる価値」「そう言える根拠」「足りないもの」を一枚に並べる。そこから、どの顧客と用途なら強みが働くかを考えます。
自社の可能性を広げる出発点は、資産を多く数えることではなく、価値に変わる条件を見つけることだと考えています。