2026.03.19
①構造で幸福をつくるとは何か
SMR&Co.は、「構造で幸福をつくる」ことをミッションとしている。
ではここでいう「幸福」とは何か。
まずこの定義から整理する。
幸福とは何か:主観的幸福度という定義
本稿における幸福は、曖昧な感情概念ではなく、
主観的幸福度(Subjective Well-Being)として定義する。
これは国際的な幸福度調査でも用いられている概念であり、
国連の「世界幸福度報告(World Happiness Report)」では、
「自分の人生をどの程度良いものだと感じているか」
という主観評価をもとに、各国の幸福度が比較されている。
つまり幸福とは、外的な条件ではなく、
自分の人生をどれだけ肯定的に捉えられているか
という認識の問題である。
日本の幸福度は国際的に見て低い水準にある
この指標に基づくと、日本の幸福度は国際的に見て高いとは言えない。
例えば、世界幸福度報告(2025年)では、日本は約147カ国中61位に位置している。
北欧諸国が常に上位を占める中で、日本は中位にとどまり、長期的にも大きな改善は見られていない。
経済規模や生活水準を踏まえると、
相対的に幸福度が低い国であるという評価は避けられない。
幸福に影響する要素:選択の自由の重要性
では、この主観的幸福度に何が影響するのか。
神戸大学による大規模調査では、幸福度に対する影響要因として、
- 健康
- 人間関係
- 選択の自由
が挙げられており、
これらは学歴や年収よりも影響度が大きいことが示されている。
なぜ「選択の自由」にフォーカスするのか
これらの中でも、本稿で焦点を当てるのは「選択の自由」である。
健康については、食事・睡眠・運動といった改善手段が既に体系化されている。
重要ではあるが、本稿で新たに構造化する領域ではない。
人間関係についても同様に、
どの環境に身を置くか、誰と関わるかという選択に依存する。
つまり、
人間関係もまた、選択の結果である
と捉えることができる。
したがって、より根源的な問いは、
人はどれだけ選択できているのか
という点にある。
「どうせ私には無理」という状態
ここでいう選択の自由とは、制度的な自由ではない。
より本質的には、
自分自身が選択肢として認識できているかどうか
である。
この観点で現実を見ると、強い違和感があった。
多くの人が、挑戦する前の段階で選択肢を閉じている。
それは明確な言葉として現れることもあれば、無意識のうちに処理されることもあるが、
根底には共通した認識がある。
「どうせ私には無理」
観察としての違和感とデータが示す現実
これは個人的な観察に基づく違和感だが、データとも整合する。
例えば、日本は他国と比較して起業という「挑戦行動」が少ない。
起業活動率は米国の約1/3程度にとどまり、開業率も欧州諸国の半分以下の水準である。
しかし、より重要なのはその内訳である。
国際調査では、日本では起業に関心を持たない人の割合が77%を超え、主要国の中でも突出して高いことが示されている。
一方で、起業意欲を持っている層に限れば、実際に起業する割合は欧米と大きく変わらない。
つまり、
できるかどうかではなく、そもそも選択肢として認識しているかどうかが問題である
という構造が見えてくる。
幸福の問題は「選択肢の回復」の問題である
ここまでを整理すると、
- 幸福は主観的幸福度である
- その重要要素の一つが選択の自由である
- しかし多くの人は無意識に選択肢を閉じている
という構造が見えてくる。
したがって幸福の問題は、
「どうせ私には無理」という判断によって放棄された無数の選択肢を、どれだけ選択肢として取り戻せるか
という問題に置き換えることができる。
SMR&Co.が扱うのは、この構造である。
努力の量を増やすことでも、才能の有無を論じることでもなく、
本来存在している可能性を、現実の選択肢として回復するための構造をどう設計するか。
では、そもそも人はなぜ「無理だ」と判断し、挑戦しなくなるのか。
次稿ではその意思決定の構造を整理する。
出典
World Happiness Report 2026
「選択の自由」が幸福感に 神戸大2万人調査
主要国における起業の状況